バリューポートフォリオとは?
バリューポートフォリオとは、事業の達成具合や成果を企業ビジョンや投資利益率の観点から分析することを指します。その分析により、事業を発展、継続させるか撤退させるのか、もしくはなんらかの改善を図るべきなのかを見極めます。その上で、複数の事業部門を持つ企業が効率の良い経営を行うと共に、株主にとってもメリットの高い利益配分ができているかを判断できるのです。
バリューポートフォリオの評価をするにあたっては、経営者目線で将来に向けて描くビジョンに貢献している事業となっているかを見ることになります。企業として目指すブランディングや顧客層、社会貢献度などの項目について、その事業が確かに役に立っているのかを見るのです。
ROIと呼ばれることが多い投資利益率は、数値で明確に出すことができる指標です。企業としてどれほど効率よく利益をあげられているかを見るもので、企業だけでなく株主に対しても配当などの形で直接利益をもたらすものとなります。
バリューポートフォリオの4つのセグメント
バリューポートフォリオでは、上記の2つの評価軸で検討することによって、4つのセグメントに事業を分類していきます。それにより、客観的に事業の継続や撤退といった選択をしやすくなります。
機会事業について
機械事業はROIは高い状態にあるのですが、経営ビジョンの観点からはマッチしていない事業のことです。利益は出せているので、継続できると経済的な安定性をもたらします。しかしそのまま続けていると、企業ブランドや経営体制に無理が生じる必要がありますので、なんらかの改善や修正が求められます。
見切り事業について
見切り事業は、会社ビジョンともマッチしておらず、なおかつROIも低い状態にある事業です。こうした状態であれば、早めに事業をやめたり部門売却を図って撤退するのが最善の道と言えるでしょう。創業時から行っている事業であるものの時代に合わなくなっているとか、スタートしたものの実際には当初思い描いたような事業ができないといった理由でこうしたセグメントに陥ることがあります。早めの経営判断が求められる部分となります。
本命事業について
経営ビジョンとマッチしていて、ROIもしっかりと出ている事業のことです。会社として求める方向性に進んでいて利益も出せるという、企業にとって最も重要な柱となる部分と言えるでしょう。株主にとっても、ほとんどの場合顧客にとっても優れたサービスや製品を提供することができていますので、このまま継続していくことになります。状況によっては、事業拡大を見込んで新たなサービス開発やマーケットの拡大を視野に入れることもできます。大きな課題が生じているわけではありませんので、事業構造そのものに改善を図る必要はあまりないでしょう。
課題事業について
課題事業というのは、企業ビジョンについては事業とマッチしているものの、ROIの数値が悪い状況にある事業のことです。つまり、利益を出すことはできているのですが、会社が目指す方向性とは異なる業務が継続されているわけです。金銭的なメリットはあるのですが、そのまま続けているとブランド力が落ちたり、顧客からの信用度が下がったりするリスクをはらんでいる事業となります。そのため、具体的な業務内容やイメージ戦略を転換して、会社ビジョンに適合した形に修正していくことが望ましい措置と言えるでしょう。
評価分析を行い経営判断を下す
事業部門の分析はバリューポートフォリオに基づいて行い、客観的に評価することが大事です。その上で、セグメント分けをして修正や撤退などの判断を下しやすくします。こうした手法を用いて、賢く、かつスピーディーに経営判断を下していく必要があります。