リスキリングとは
リスキリングとは、従業員が新たな技能を獲得し、それまでの仕事からまったく異なる職種や業務に移行するための教育・訓練を指す言葉です。
企業としても、技術の進歩や経済の変化、社会状況の変動などにより、既存のスキルや業務内容が時代遅れになりつつあったり、あるいは新たなビジネスチャンスや成長分野を見つけたりしたときに、従業員に新たなスキルを身につけさせる必要性を感じることがあるでしょう。そういうときに、重要になるのがリスキリングです。
とりわけ、新型コロナウイルスのパンデミックが世界的に広がった現代社会では、多くの産業が大きな影響を受け、それまでのビジネスモデルや働き方が大きく変化しました。
そうした状況において、リモートワークやデジタル化に対応する新たなスキルが必要となっています。また、既存の職種や業務がなくなる一方で、新たな職種や業務も続々と登場している状況です。
そのため、リスキリングはあらゆる企業にとって、従業員のキャリアの方向性を変え、新たな機会を開拓するための重要なステップとなっていると言えるのです。
経済産業省の取り組み
経済産業省は、これからの時代に求められるスキルや能力を持つ人材を増やすために、リスキリングの推進に積極的に取り組んでいます。
その一環として実施しているのが、企業に対するリスキリングの支援策です。具体的には、教育訓練費用の補助制度や企業内でリスキリングを行う際のガイドライン作成などがあります。これらの取り組みによって、企業がリスキリングを進めやすい環境を整備できるようにとの狙いです。
リカレントとの違い
リカレント教育とは、社会人が自らの意志で学び直しを行う教育を指す言葉です。仕事を持ちながらも、大学に入り直すことや専門学校・職業訓練校などで新たに学びを始めることを含みます。
リカレント教育では、一度習得したスキルをブラッシュアップすること、新たな分野の知識を習得することをおもに目指しています。
それに対し、リスキリングは、ある分野から別のまったく新しい分野へ転換することを目指しています。たとえば、製造業からIT業への転職を考えている人が、ITの基礎知識やプログラミングスキルを学ぶ場合などが該当するでしょう。つまり、どちらも似たような意味を持ちながら、リスキリングとリカレントでは、それぞれ目的と焦点が異なっているわけです。
まとめ
リスキリングは、職業の変化や新たな機会を追求するための重要なステップです。とくに、新型コロナウイルスの影響で働き方やビジネスモデルが大きく変わった現代社会では、リスキリングは個々のキャリアアップに不可欠な要素となります。
一方、リカレント教育は、既存のスキルを深め、新たな知識を学ぶことをおもに目指します。
経済産業省の支援策を活用し、企業が積極的にリスキリングの取り組みを行うことで、従業員は新たな職種や業務に対応可能なスキルを獲得し、キャリアの選択肢を広げることができるでしょう。
リスキリングとリカレント、両者を適切に組み合わせることで、個々人のキャリアアップと企業の競争力向上に寄与することが期待されます。