キャリアアンカーの定義
キャリアアンカーとは、仕事を選ぶ際に妥協することができない価値観やこだわりのことを指します。「アンカー」つまり船の錨のように、動じることなく強い信念に基づいた考え方によって、自分という存在をしっかりと保つために持つべき価値観です。
キャリアアンカーを構成する3つの要素
自分にとってのキャリアアンカーをはっきりとさせるためには、3つの要素を分析すると良いです。
その一つは「コンピタンス」です。これは、キャリアで役立つ強みや専門性のことです。仕事上のスキルや専門知識、実務経験といったものが含まれます。
2つ目の要素は動機です。自分が感じるやりがいや仕事に求めるもの、どんな生き方をしたいのかといった、自分の気持ちを明確にすることが求められます。
3つ目は、価値観や信念です。仕事における意義や仕事を通して成し遂げたいことなどがあります。
キャリアアンカーの8つの分類
キャリアアンカーは8つの種類に分類できます。それにより、どのような仕事の選び方をしたら良いかが見えてきます。
・管理
プロジェクトや人を管理する能力と意志がある人です。マネージャーや経営者などの上級職を目指すことになります。ある程度の年数をかけて、スキルや知見を磨いていく必要がありますが、その分、給料や社会的地位などの面で高水準の待遇を受けられるのが特徴です。
・専門と職能
特定のジャンルでエキスパートもしくはスペシャリストになることを目指します。昇進よりも、自分の好きな仕事に専念したい人が目指すキャリアアンカーとなります。人を管理するよりも現場で働くことが多い傾向になるのも特徴です。一つの分野で実務経験と知識を蓄積していくことで達成できます。
・保障と安定
終身雇用を求めるなど、安定した働き方ができる職種を選ぶパターンです。特に業種にこだわりがあるわけでなく、どんな仕事でも安全性や将来性があるかで判断する傾向にあります。公務員や大企業を選ぶことが多く、堅実な働き方ができることが重視されます。
・自律と独立
自分の能力やセンス、仕事の進め方ができる業種もしくは職場を選ぶというタイプです。会社に縛られるのが嫌というケースが多く、独立して起業したりフリーランスになったりする傾向が強いです。
・奉仕と社会貢献
人のため、社会のために役立ちたいという動機で仕事を選びます。医療や教育、公的機関での仕事をすることが多いです。給料や就業時間の点ではそれほどメリットを感じなくても、貢献度を重視して仕事を選ぶ傾向にあります。
・企業家的創造性
新しい商品やサービスを生み出したいという人のことで、研究開発や企画系の職種となります。クリエーター系の仕事を好む人もここに分類されます。
・ワークライフバランス
プライベートと仕事をバランスよく充実させることを重視した働き方をするのが特徴です。家族を優先にするケースもここに含まれ、在宅勤務や育休などの制度が充実した会社を選ぶことが重視されます。
・チャレンジ
仕事を通して挑戦することが目的となっています。新しいことにチャレンジするために転職することをいとわず、全く違う業種に就くことも珍しくありません。刺激を得られることを重視していますので、さまざまな種類のキャリアを身に着けていく人となります。
価値観を認める
大切なのは、自分の中の価値観を理解することです。しかも価値観というのは変化していきます。ですので、結果が後悔でも満足でも、自分で舵をとったということが重要になります。
また私たちは千差万別の価値観を持っています。社内で違う価値観を持ったヒトへの理解をすることで、柔軟な働き方への推進が可能になるのではないでしょうか。