高齢化と少子化が急速に進んでいる日本では、企業が人材を確保することや若手社員の比率を高めることが難しい課題となっています。
こうした企業にとって見過ごせない課題に対応するため、「オンボーディング」というものに注目が集まっています。
どうしてこうした施策を取ることが重要なのかを考察して、企業力を高めることができます。
オンボーディングが注目されている背景
多くの企業がオンボーディングに注目している背景には、社会全体で離職率が高くなっていることが挙げられます。
2021年における厚生労働省が行った統計によると、高卒でも大卒でも就職してから3年以内に離職する割合が3割台となっていることが示されました。せっかく時間と費用をかけて採用をし、仕事を教えてもすぐに辞められてしまっては、企業にとって大きな損失です。
それだけでなく、そもそもどの業界でも人材不足が顕在化していますので、新たな従業員を雇い入れるのは簡単ではありません。
そこで、採用した社員の離職を防ぐ手だてを真剣に考えるべきという企業が増え、その一つの対策としてオンボーディングに注目するようになったのです。
メリット
オンボーディングでは、グループまた個人としての研修を実施して、会社の雰囲気に慣れ仕事を楽しめるようにします。こうしたサポートをすることで、早期離職を防げます。早期離職の大きな原因は、職場の雰囲気が合わないとか、仕事がつまらないといったものです。それを解決するために、環境になじめるようにすることと、業務スキルの向上を早めに行うのです。早期離職を防げれば、その後長期間にわたって勤務してくれる可能性がぐっと高まります。
そして、全体として業績アップを期待できるのもメリットです。オンボーディングにより、早い段階でそれぞれの力を活かした仕事ができるようになるからです。特に中途社員は、すでに高い技術や経験を持っていますので、それをすぐに生かした仕事ができるようになり、大きな貢献をしてもらえます。
ポイント
オンボーディングを成功させるためには、課題分析と目標設定が大事です。新入社員がどのような壁にぶつかるかを分析し、そのためにはどうしたら良いかを考えるのです。
離職する原因が雰囲気になじめないということであれば、そこを重点的に取り組む研修として、仕事内容に不満が出ているなら効率を上げるための作業法の研修などに取り組むことができるといった具合です。
そして、研修実施者に対する訓練も不可欠です。オンボーディングではメンターによる1対1のケアも重要になってくるからです。
新入社員が気軽に相談できる資質を身に着けることや、より効果的な課題解決の道を見つける判断力などが必要です。そのためには、まずメンター育成を行う必要があるのです。
まとめ
オンボーディングが注目されている背景には、どの業界でも早期離職が多くなっていること、人材不足が深刻化していることが挙げられます。
職場の雰囲気になじめるようにすることや、仕事を楽しく効率よく行えるようにサポートするといった実際的なケアをすることがポイントとなってきます。